子爵は新妻を独り占めしたい
朝食を食べる習慣すらもなかった紗綾は、呆然となることしかできなかった。

「おはよう、サーヤ」

その声に視線を向けると、エミリーがポットを手に持ってキッチンから現れた。

「おはようございます…」

紗綾はエミリーにあいさつをした。

「洋服、サイズがあったみたいでよかったわ。

昨晩はよく眠れたかしら?」

ニコニコと笑いながら、エミリーはグラスを手に持った。

「はい、ぐっすりと」

そう答えた紗綾に、
「フフ、それはよかったわ」

エミリーはグラスに水を注ぐと、それを紗綾に差し出した。

「眠ったから、喉が渇いたでしょ?」

そう言ったエミリーに、
「ありがとうございます…」

紗綾はお礼を言うと、グラスに口をつけた。
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