子爵は新妻を独り占めしたい
エリックはふうっと息を吐くと、
「カミラのことは気にするな」
と、言った。

「カミラが小さい頃から何度か告白を受けているけれど、俺は彼女のことを女として意識したことは1度もないんだ。

そうだな、妹みたいな存在だと言った方が正しいだろうな。

カミラはそれ以上でもそれ以下でもない関係だと、俺は思ってる」

エリックははっきりと言ったのだった。

「そうなんですか…」

子供の頃からのつきあいと言うものは、そう言うものらしい。

「だから、君は心配するな」

エリックは宣言すると、紗綾の頭に手を伸ばそうとした…が、すぐに何かに気づいて慌てたように手を引っ込めた。

「エリックさん?」

彼の様子に声をかけたら、
「す、すまなかった」

エリックはハッと我に返った様子で紗綾から離れたのだった。
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