恋して cha cha cha

「いえ、大丈夫です。

ごめんなさい、心配をおかけして」

小さく謝ったわたしに、
「ううん、由真ちゃんが元気なら私も嬉しいよ」

森坂さんは笑ってくれた。

「おはようございます」

その声に視線を向けると、スーツ姿の背の高い男の人だった。

明るい茶色の猫っ毛のこの人は、確か…。

「おはようございます、高崎さん」

森坂さんが彼にあいさつをした。

そうだ、高崎さんだ！

由真ちゃんが勤務してる『高崎エージェンシー』の御曹司だ！

御曹司だから仕事ができないおかっぱ頭のお坊ちゃまみたいなイメージを頭の中で思い浮かべていたけど…仕事ができそうで、何より優しそうな雰囲気を感じた。

「おはようございます、森坂さん」

高崎さんが森坂さんにあいさつを返した。