恋して cha cha cha

第５話＊彼女の気持ちがわからない

＊二ノ宮索目線＊

最近、気になる子ができた。

名前は香西由菜さん、『ニノミヤ硝子株式会社』の受付嬢だ。

明るくて笑顔が素敵で、運動神経もよくて、俺がうっかり落としてしまったファイルを片手でパシッと受け止めたほどだ。

彼女の休憩時間を狙って偶然を装って現れては雑談を交わすのが、俺の楽しみだった。

やっていることはまるでストーカーだと言うことは、自分がよく理解しているつもりだ。

その日も彼女の休憩時間を狙って、俺は自販機に顔を出した。

「お疲れ」

そう声をかけた俺に、彼女は驚いたと言うようにビクッと躰を震わせた。

「あ…お、お疲れ様です」

彼女は小さな声で呟くように言った後、小さく会釈をした。

…これは、脅かしてしまったか？