Rouge
むしろそれがお互いにとって何よりもの得策であり都合よしであり。
お互いにあってはならぬ様な時間の対峙と言えた筈なのに。
「じゃあ、プライベートで」
「…はっ?」
「プライベートとしてなら視界に敢えて収まって、違反行為しててもいいんでしょ?卯月センセ、」
「…先生言うな。元々唯の保健医で指導も何もないってのに」
「それでも、超が付く程品行方正なエリート学校の保健医さんが、普段の真面目さ脱いでこんなとこにいるのは宜しくないんじゃない?……いつもより艶やかすぎてけしからんですよ?」
「……結局は何?私を脅したいの?その学校の品行方正で生徒の鏡の様な白峯くんは」
「いや。ただ…誘われただけ」
「はぁっ?」
「『どうでもいいや』って面倒な表の人生蔑ろに素を曝けてるセンセに誘われた」
そうよ。
面倒なのよ。
だから表の人生での登場人物ほど関わって欲しくないと思うのに。
生きる上では申し分ない、名門校が勤務先。
全国の財閥の跡取り息子や娘が通うそこは当然の様に優秀の集まり。
当然、それらに教え説く教諭陣も優秀で模範的人格者でなければならない。
生徒も教諭さえもその学校に身を置けるのは一握りで、誉れに思い鏡になり得ようと磨く人間さえいるほど。
そんな学校の保健室が私の居場所。