Rouge
普段は面白みのない白いシャツや厭らしさのない丈のスカートを身に纏い。
地味なメイクの上から眼鏡をかけて、毛先だけ緩いパーマのかかった長い黒髪は簡単に一纏め。
絵に描いたような面白みも色気も愛想もない姿の出来上がり。
それがその中に身を置く一番の装いで、在り方で。
つまらないと思うほどあの学校では立場や評価は良いものとして固定する。
かといって人格まで品行方正に矯正される筈もない。
学校から離れてしまえばそれなりに違う自分の姿はあって、それこそ人並みの欲も健在。
華美とは言わずとも女として好みの服も纏いたいし化粧もしたい。
まともに女性としての人生の謳歌すべきなプライベートな時間。
一番、自分の昼の顔チラつく気配とは無縁でいたいと言うのに、そんな気配が無縁で近寄りもしなさそうな場所で堅苦しさを脱いでいたというのに。
校内でも一際優秀で、品行方正、見目麗しく物腰柔らかな男に見つかり暴かれ声をかけられるなんて。
いや、訂正か…、
今目の前にいる彼には完全なる一致は感じられない。
どう見ても性質も素行もよろしくなさげで、綺麗でニヒルな笑みの姿は私から再び煙草を奪うと口に咥えて煙を吐く。