Rouge
ああ、本当に厄日なのだろうか?
とことん全てが面倒だと無意識にも重苦しい息が昼よりも色の濃い唇から零れ自然と眉根が寄った。
「暇つぶしにからかうなら他所に行って。本気で脅すならご自由に。学校に報告するなりなんなり好きにすればいい」
「フフッ、だから、そんな事したら俺の印象も共倒れだって分かってる癖に」
「じゃあ何?」
「だから、誘われただけだって」
「で?」
「ん?『で?』って?」
「『誘われて』だから何なの?自分から動かなくてもそれこそ年相応な綺麗所に囲まれる癖に。それともそういうのに飽きた反動で寂しい年増女でも相手してみたくなった?」
「フッ、年増って……まだ25,6じゃなくて?」
「高校生からしたら20も半ばすぎれば年増でしょ」
「逆に言えば、18過ぎたら年齢差とかどうでもよくなるもんでしょ」
「何でもいいわよ。さっさと他の綺麗な女に誘われてきなさい。その煙草もあげるわよ」
二度目の断ち切り。
本当に不愉快だと自らその場を離れかけ靴音をコツリと響かせ始めたというのに。
待ったをかける様に二の腕に絡み付いてきた感触に眉根を寄せたのは一瞬。
すぐにまともでないヌルリとした生温い感触に視線を動かし、捉えた赤にはさすがに見開いた目を彼に向けていたと思う。