Rouge
気まぐれに手当てを引き受け案内されたのは、さすがに繁華街からは抜け、それでもあまり人っ気がない裏道にひっそり存在する建物の地下階の部屋。
コンクリート造りの部屋は広さとしては申し分なく、設置され視界に捉える事出来るキッチンもIHで最新的な綺麗な物。
お風呂やトイレは確認していないけれど、他の場所にあり同じような感じだろうと予測する。
ただ、本当にここを住処としているのか?と問いたくなるほど当たり前の必需品の少なさと言うのか。
キッチンに至っても使われた事があるのか疑わしい程シンクは光を反射し水滴の一つもない。
冷蔵庫も飲み物専用?と問いたくなるほど小さなもので、唯一生活を感じるのはこの柔らかなラグとソファマットくらい。
まあ、別に私には関係のない事だからいいのだけど。
「ねえ、」
「何?」
「美人だね、」
「化粧の魔力よ」
「学校でのセンセも嫌いじゃないよ」
「……傷抉るわよ?」
「フッ、そんなにプライベートな時間に昼の気配持ち込みたくない?」
当然でしょ。
そう肯定するように睨むような一瞥で答えたのに、堪える筈のない姿はクスクスと楽し気な音を漏らしてむしろその目に焼き付ける様に私を見つめ抜く。