Rouge





殺風景で面白みのない部屋だ。

白に近いコンクリートの壁に黒い木製の床。

メインルームである筈の空間はいくらでも家具を並べられそうな程広い造りだと言うのに、これと言った物は白く踏み心地柔らかなラグとクッションソファ。

一応居住目的の空間だと示す様にキッチンと小さな冷蔵庫が申し訳なさげにひっそりとはある。

かといって、冷蔵庫の中身は食材の宝庫と言うわけでもなく。

必要最低限だ。

飲み水、アルコール、その日得るための出来上がった食事。

部屋と言うよりは………大きな飼育部屋。




私と言う生き物を囲う……

白い檻。




一体、今は何時か。

朝なのか昼なのか夜なのか。

もっと言えば……何年の、何月何日であるのか。





……なんて、

「馬鹿馬鹿しい…」

さすがにそれほど時間が経っていないことくらいは分かると、自分で浮上させた疑問を放り捨てる様に立ち上がった。

身を置いていたのは感触が良くこの部屋で唯一柔らかさや暖かみ感じるポジション。

その場所で何をするわけでもなく、時には座り、時には寝転んで。

身に纏うのは素肌に白いランジェリー。

太腿までの長さのそれは可愛い過ぎるでもセクシー過ぎるでもない。

誰を誘惑するつもりもないこの姿はここで生活する衣装に近い。

そんな薄い生地をひらつかせ、ただぼんやりと過ぎ去る時間を無駄に呆けていたのだ。



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