虫も殺さないような総長に溺愛されています




気があって、一緒にいるのが楽しくて。

「僕、花さんといるの楽しいです」

「私もタロくんといるの楽しいよ」

そんな感覚の男女が恋愛感情をお互いに意識するのは当然の流れ、自然の理とも言えてしまうものだろう。

斯く言う私もまんまとその1人で、一緒にいる間にどんどんと彼に絆されほの字になったわけだ。

そして、自惚れなんかではなく、やんわりと彼からの好意も気がつき絶妙な距離感にそわそわとしていた中で彼の方から関係進展の切り出してくれた

場所はいつも屯っている晴天の屋上。

昼休みらしくお昼を持ち寄ってコンクリートの地面に座り、他の友人を待ちながら歓談していた束の間の2人きりの時間。



『好きです』

そんな定番の切り出しに『おおっ!』と沸きまくった心は馬鹿正直。

『付き合ってください』の響きには躊躇いもなく挙手付きで『喜んで!』なんて返したのに…。

えっ?何?

「そ、そうちょ?……早朝?」

「総長です」

自分で都合のいい漢字を当てはめ困惑を逃していれば、今日も頼りなさげで守ってあげたくなる様な微笑みの姿は、私を見つめてから更に一笑し再びの総長宣言ときたものだ。



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