国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「今夜もまた温室に行くの?」

ふとマリーアに尋ねられ、ミリアンは「そのつもりだ」と答える。

「あまり遅くなってはだめよ? 敷地内とはいえ、森には竜もいるし……またこのあいだみたいなことがあるかもしれないから」

マリーアの話によると、城の裏手にある森に住む竜たちは夜行性で、気性の荒い紅竜などは時に人を襲うという。

「わかったわ。遅くならないようにする」

しばらくして夕食を終えると、ミリアンは今日見た本の内容を頭の中で思い出しながら、温室へ行くために上着を羽織った。
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