国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
今夜も美しい月夜が煌々と辺りを照らしている。城の従者はあまり夜、外を出歩かない。なぜなら竜に出くわすかもしれないという恐怖があるからだ。しかし、温室へ向かうミリアンの足取りは軽く、竜の恐怖などまったく感じていなかった。
昨夜と同じように誰もいない庭園を抜け、そっと温室の扉を開く。そこは昨夜と同じく美しい花々が咲き誇り、甘い香りを含んだ暖かな温室の空気がミリアンの冷え切った身体をやんわりと出迎えるように包み込んだ。静けさの中、噴水の水音だけが響いている。
(やっぱりここは落ち着くわ)
噴水の水を手で掬い、透明度の高い冷たい水が指からこぼれる。この水はおそらく王都を流れる運河と同じ、山脈から下ってきた水だ。新鮮な水を使っているからか、ここで育てられている植物は淀みない。ミリアンは昨夜レイに教えてもらった花の咲かない低木のある場所へ歩いた。すると――。
(あれは……)
昨夜と同じように誰もいない庭園を抜け、そっと温室の扉を開く。そこは昨夜と同じく美しい花々が咲き誇り、甘い香りを含んだ暖かな温室の空気がミリアンの冷え切った身体をやんわりと出迎えるように包み込んだ。静けさの中、噴水の水音だけが響いている。
(やっぱりここは落ち着くわ)
噴水の水を手で掬い、透明度の高い冷たい水が指からこぼれる。この水はおそらく王都を流れる運河と同じ、山脈から下ってきた水だ。新鮮な水を使っているからか、ここで育てられている植物は淀みない。ミリアンは昨夜レイに教えてもらった花の咲かない低木のある場所へ歩いた。すると――。
(あれは……)