国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
忘れかけていた記憶の隅で母と昔交わした会話が蘇る。花の名前はわからない。しかし、ミリアンが高熱を出した時にどこからか母がこの花に似た花を持ってきて、薬を作ってくれたことがあった。
母がこの花について色々教えてくれたはずだが、当時まだ幼かったミリアンの記憶は、切れ切れにしか頭に残っていなかった。
(実はこの花はね……この花は……あぁ、だめ、思い出せない)
思い出したいのに思い出せないのが歯がゆくてミリアンが額を抑えると、その拍子に緑竜が目を覚ましてしまった。
「ごめんなさい。気持ちよく寝ているところを起こしてしまったわね」
すると、緑竜は先ほどまで咲いていなかった花を見ると、ミリアンの膝の上からぴょんと降りて嬉しそうに翼をバサバサとさせた。
「ふふ、もしかしてあなたもこの花が咲くのをずっと待っていたの? あ、こら!」
短い足で何度もジャンプして花に飛びつき、緑竜があんぐりと口を開ける。
「だめよ、せっかく咲いたのに、これはね、食べ物じゃないのよ?」
間一髪のところでミリアンが緑竜を抱きかかえて引き離す。緑竜は残念そうにクゥと小さく鳴いて俯いた。もしかしたらまた毒のある花かもしれない。それを誤って食べてしまったら大変だ。
母がこの花について色々教えてくれたはずだが、当時まだ幼かったミリアンの記憶は、切れ切れにしか頭に残っていなかった。
(実はこの花はね……この花は……あぁ、だめ、思い出せない)
思い出したいのに思い出せないのが歯がゆくてミリアンが額を抑えると、その拍子に緑竜が目を覚ましてしまった。
「ごめんなさい。気持ちよく寝ているところを起こしてしまったわね」
すると、緑竜は先ほどまで咲いていなかった花を見ると、ミリアンの膝の上からぴょんと降りて嬉しそうに翼をバサバサとさせた。
「ふふ、もしかしてあなたもこの花が咲くのをずっと待っていたの? あ、こら!」
短い足で何度もジャンプして花に飛びつき、緑竜があんぐりと口を開ける。
「だめよ、せっかく咲いたのに、これはね、食べ物じゃないのよ?」
間一髪のところでミリアンが緑竜を抱きかかえて引き離す。緑竜は残念そうにクゥと小さく鳴いて俯いた。もしかしたらまた毒のある花かもしれない。それを誤って食べてしまったら大変だ。