国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「あなた、もう帰らなくていいの? お母さん心配してない?」

その言葉に反応するようにクエクエっと鳴くと、小さな緑竜は翼を広げて飛んで行ってしまった。

「またね」

天窓から出ていく姿を見送ると、ミリアンは再びその花に視線を戻した。

(もう一度書庫へ行って調べ直してみよう)

ミリアンはそのひっそりと咲く花を目に焼き付けて記憶すると温室を後にした――。
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