国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ミリアンを返してもらおうかな、ロパ牧師から話は聞いた」

それを聞くと、レイはちょうどジェイスの真横で足を止める。横目で鋭く睨むと周囲の空気に緊張が走った。

「何が言いたい」

「教会の子どもたちも、いきなりミリアンがいなくなって寂しがってる」

「あの牧師は寄付金の代わりにあっさりあの娘を手放したんだ、子どもの都合など知らんな」

ロパがミリアンを引き取らなかったのは、実は教会の体裁のためではなかった。表向きはそのような形だったが、ミリアンを手放す代わりに多額の寄付金をちらつかせると、ロパはあっさり身を引いた。

「ロパ牧師も腹黒いね、そんなことミリアンが知ったら悲しむだろうな、可哀そうなミリアン」

ジェイスはミリアンに同情するように物憂げな顔をした。

「ふん、しらじらしい」
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