国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「わしもずいぶん昔に見たきりで、もう絶滅したのではないかと言われていたが……。この花は煎じることによって万能薬になる」
「じゃあ……」
「レイ様の熱もこれで下がるかもしれん」
ラウラスの言葉でミリアンの表情がぱっと明るくなる。一秒でも早くこの花で薬を作ってレイに届けたい。そんな思いを抱いていると、ラウラスが神妙な面持ちで言った。
「しかし、的確な温度で煎じないとこの花の効果を十分に得られん……しかもカウラの花の寿命は一晩だ」
(一晩……? じゃあ、ここに咲いている花は明日には枯れてしまうということ?)
それに新しい花が咲くとも限らない。ということは煎じるチャンスは一度だけということだ。
「ミリアン殿。そう悲観するな、薬師の名に懸けてわしが何とかして見せよう」
「ラウラス様……お願いします。私に手伝えることがあればなんでも言ってください」
ミリアンが祈るように両手を組み合わせると、ラウラスはニッと白い髭の向こうで口の端を押し上げた――。
「じゃあ……」
「レイ様の熱もこれで下がるかもしれん」
ラウラスの言葉でミリアンの表情がぱっと明るくなる。一秒でも早くこの花で薬を作ってレイに届けたい。そんな思いを抱いていると、ラウラスが神妙な面持ちで言った。
「しかし、的確な温度で煎じないとこの花の効果を十分に得られん……しかもカウラの花の寿命は一晩だ」
(一晩……? じゃあ、ここに咲いている花は明日には枯れてしまうということ?)
それに新しい花が咲くとも限らない。ということは煎じるチャンスは一度だけということだ。
「ミリアン殿。そう悲観するな、薬師の名に懸けてわしが何とかして見せよう」
「ラウラス様……お願いします。私に手伝えることがあればなんでも言ってください」
ミリアンが祈るように両手を組み合わせると、ラウラスはニッと白い髭の向こうで口の端を押し上げた――。