国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「いいか? おそらくその薬は数時間経ってしまうと効果がなくなってしまうだろう。だから早く行きなさい」

「はい! あ、あの、お礼は必ず」

薬の入った瓶を受け取るとミリアンは頭を下げ、急いで小屋を後にした――。

「おじいさま、ごめんなさい。僕、余計なことを言ってしまった?」

叱られた子どものように眉尻を下げてヨークは俯く。

「いいや。それにしてもヨーク、お前、よくカウラの花を知っていたな。よく勉強している」

そう言ってラウラスは愛おし気にヨークの頭に手を載せると、ヨークは顔をあげて照れたようにへへっと笑って顔を赤くした。

「あの美しい金の髪、あの方によく似ておられるが……ミリアン殿は、まさか……な」

思わず口にしてしまったラウラスの独り言にヨークは意味がわからずきょとんとする。まるで異国の言葉でも聞いているように――。
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