国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
(あいつがミリアンの母上を殺しただって? ふぅん、なるほど……案外、彼も過保護な男だったんだな)
レイがミリアンに嘘をついている理由は考えずともすぐにわかった。母を殺した本当の相手を知ったら、ミリアンはひとりででも仇を討ちに行くだろう。だから、ミリアンに剣を振るわせ危険な目に遭わせないように、自分の手元から離れないようにそんな嘘をついたのだ。
「くっ……あっはは。あぁ、こんなにうまく事が運ぶとはね」
あの冷血王と悪名高い男がひとりの女のためになんと滑稽なことか、とジェイスは堪えきれずに高笑いを響かせた。
(あの実が役に立つといいね、ミリアン)
ジェイスがミリアンに手渡した実は、リムル国外では手に入らないものだった。たまたま持っていた物だったが、思わぬところで運よくミリアンに手渡すことができた。それに自分の手を汚さずにあの男が消えてくれるなら、こんな好都合なことはない。
(レイ、もうすぐでお休みの時間だ……永遠にね)
あの実は確かに催眠効果のあるものだったが、ミリアンはジェイスの言ったことを真に受けたまま、何も知らない。
その眠気が二度と目覚めることのない睡魔の誘いだということを――。
レイがミリアンに嘘をついている理由は考えずともすぐにわかった。母を殺した本当の相手を知ったら、ミリアンはひとりででも仇を討ちに行くだろう。だから、ミリアンに剣を振るわせ危険な目に遭わせないように、自分の手元から離れないようにそんな嘘をついたのだ。
「くっ……あっはは。あぁ、こんなにうまく事が運ぶとはね」
あの冷血王と悪名高い男がひとりの女のためになんと滑稽なことか、とジェイスは堪えきれずに高笑いを響かせた。
(あの実が役に立つといいね、ミリアン)
ジェイスがミリアンに手渡した実は、リムル国外では手に入らないものだった。たまたま持っていた物だったが、思わぬところで運よくミリアンに手渡すことができた。それに自分の手を汚さずにあの男が消えてくれるなら、こんな好都合なことはない。
(レイ、もうすぐでお休みの時間だ……永遠にね)
あの実は確かに催眠効果のあるものだったが、ミリアンはジェイスの言ったことを真に受けたまま、何も知らない。
その眠気が二度と目覚めることのない睡魔の誘いだということを――。