国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ドレスを脱ぐって――?」
「ここから海に飛び込んで逃げるぞ」
「なっ――」
突拍子もないことを言われてミリアンは戸惑うが、この大きく広がったドレスを着たまま飛び込めば、水を吸ってその重みで溺れかねない。しかし、ここから海までかなり高さがある。そんな海に飛び込むなどと正気の沙汰ではない。ふと、火の棘のような熱い視線を感じた。視線だけを上げると、その先に不機嫌そうなジェイスの姿。
「なにを内緒話してるんだい? さすがの君もそんな痛手を負ってたら、ここにいる兵士の相手は無理だろう」
ジェイスが今まで腰に収めていた剣を抜き、薄ら笑みを浮かべながらこちらへゆっくり歩み寄ってくる。
「ミリアン、私を信じろ。お前を死なせたりはしない。早くするんだ」
どのみちここで躊躇していても、ジェイスに捕まるだけだ。
レイに急かされてミリアンは覚悟を決めると、レイの胸を刺したナイフでドレスの紐をブチブチと切り始めた。そして煩わしくまとわりつくドレスを素早く脱ぎ捨てると、真っ白な薄地のビスチェとパニエが現れる。それはもはや下着姿同然だった。
「ここから海に飛び込んで逃げるぞ」
「なっ――」
突拍子もないことを言われてミリアンは戸惑うが、この大きく広がったドレスを着たまま飛び込めば、水を吸ってその重みで溺れかねない。しかし、ここから海までかなり高さがある。そんな海に飛び込むなどと正気の沙汰ではない。ふと、火の棘のような熱い視線を感じた。視線だけを上げると、その先に不機嫌そうなジェイスの姿。
「なにを内緒話してるんだい? さすがの君もそんな痛手を負ってたら、ここにいる兵士の相手は無理だろう」
ジェイスが今まで腰に収めていた剣を抜き、薄ら笑みを浮かべながらこちらへゆっくり歩み寄ってくる。
「ミリアン、私を信じろ。お前を死なせたりはしない。早くするんだ」
どのみちここで躊躇していても、ジェイスに捕まるだけだ。
レイに急かされてミリアンは覚悟を決めると、レイの胸を刺したナイフでドレスの紐をブチブチと切り始めた。そして煩わしくまとわりつくドレスを素早く脱ぎ捨てると、真っ白な薄地のビスチェとパニエが現れる。それはもはや下着姿同然だった。