国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「見晴らしのいい所ですね、道を行きかう人がすごく小さく見えます」

そう言いながらミリアンは笑った。そうでもしなければ、先ほどのラウラスが語った母の過去にまた涙してしまいそうだった。

「ミリアン、無理をするな……先ほどの話、まだ尾を引いているのだろう?」

何を隠しても見破られてしまう。そんなに自分の装いは下手なのか。とミリアンは肩を落とした。

「母とレイ様の父上は……愛し合っていたのですね。でも! もしかして、レイ様は実は母の隠し子だったなんてことは――」

愛し合っていたのならば、ひそかに二人の間に子が宿っていたかもしれない。しかし、それを聞いたレイは噴き出して、ついには声を立てて笑った。
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