国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ああ、ミリアン。お前、今どんな顔をしているかわかるか?」

「え……?」

「男を扇情的にそそる、いけない顔だ」

鏡を見なくとも、自分の顔がとろけてしまいそうになっているのはわかっていた。だから、そんなふうに指摘されると羞恥に言葉を失ってしまう。

「レイ様の馬鹿……」

「ふ……この私に馬鹿なんて言うのはお前くらいだ」

なにを言われてもすべてが愛おしいというように、レイは薄く笑む。ミリアンもつられて顔を綻ばせると、どこからともなくあの“幸せの歌”が聞こえてくるようだった。
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