国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
この先、いく度の困難が高い峯のようにそびえ立とうとも、その時互いが寄り添っていればなにも怖くはなかった。レイから沸き起こる今までになかった感情は、淀みのない大きな海原のようにミリアンのすべてを包み込む。
星降る中、恋人たちの熱い抱擁は途切れることなくいつまでも続く。するとその時。甲高い獣の鳴く声が響き渡った。
「あ! レイ様、見てください」
ミリアンが指さす方向に大きな翼を広げ、大きな身体で悠然と夜空を羽ばたいている竜の影が見えた。
「ミリアン、目を凝らしてよく見てみろ。ふ……あいつ、こんな高いところまで飛べるようになったんだな」
レイが優しげにやんわりと目を細める。
言われた通り目を見開いてじっと見ると、夜空を飛ぶ竜の後ろを追いかけるように、必死にくっついている小さな影があった。懸命に翼を羽ばたかせて一端に咆哮している。
まるでふたりを祝福し、竜の加護をもたらすように。
ミリアンはその姿が闇に消えて見えなくなるまで、ずっと見つめて柔らかに微笑んだ――。 おわり
星降る中、恋人たちの熱い抱擁は途切れることなくいつまでも続く。するとその時。甲高い獣の鳴く声が響き渡った。
「あ! レイ様、見てください」
ミリアンが指さす方向に大きな翼を広げ、大きな身体で悠然と夜空を羽ばたいている竜の影が見えた。
「ミリアン、目を凝らしてよく見てみろ。ふ……あいつ、こんな高いところまで飛べるようになったんだな」
レイが優しげにやんわりと目を細める。
言われた通り目を見開いてじっと見ると、夜空を飛ぶ竜の後ろを追いかけるように、必死にくっついている小さな影があった。懸命に翼を羽ばたかせて一端に咆哮している。
まるでふたりを祝福し、竜の加護をもたらすように。
ミリアンはその姿が闇に消えて見えなくなるまで、ずっと見つめて柔らかに微笑んだ――。 おわり