国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
(そうだ! ロダンおじさんが来たら、歌を唄ってあげよう)
近所に住む白髪の老人ロダンおじいさんは、ミリアンを孫のようにかわいがり、「歌が上手だね」といつも褒めてくれた。わくわくしながら、そんなふうに思っていたその時。バタン!と荒々しくドアを蹴破るような大きな音がして、ミリアンの身体がビクリと跳ねた。数人の人が家に入ってくる気配がしたと思ったら、皿の割れる音や何かが派手に倒れるような音がして、クローゼットの中にまで漂う不穏な空気にミリアンはここで初めて恐怖を感じた。
(な、なに……? 怖い!)
ミリアンは母からもらったロザリオを胸元に隠して、ギュッと身を縮こませた。
何があったのか扉を開けてみたい。そう思って手を伸ばしたが母からいいと言われるまで出てきてはいけない、と言われていたのを思い出してその手を止めた。
「ここにはいないぞ! 他を探せ」
聞きなれない男の声。きっと自分の知らない人だ。しばらくすると、クローゼットの中へ入る時には想像もつかなかった物々しい喧騒がやんだ。
近所に住む白髪の老人ロダンおじいさんは、ミリアンを孫のようにかわいがり、「歌が上手だね」といつも褒めてくれた。わくわくしながら、そんなふうに思っていたその時。バタン!と荒々しくドアを蹴破るような大きな音がして、ミリアンの身体がビクリと跳ねた。数人の人が家に入ってくる気配がしたと思ったら、皿の割れる音や何かが派手に倒れるような音がして、クローゼットの中にまで漂う不穏な空気にミリアンはここで初めて恐怖を感じた。
(な、なに……? 怖い!)
ミリアンは母からもらったロザリオを胸元に隠して、ギュッと身を縮こませた。
何があったのか扉を開けてみたい。そう思って手を伸ばしたが母からいいと言われるまで出てきてはいけない、と言われていたのを思い出してその手を止めた。
「ここにはいないぞ! 他を探せ」
聞きなれない男の声。きっと自分の知らない人だ。しばらくすると、クローゼットの中へ入る時には想像もつかなかった物々しい喧騒がやんだ。