国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「お前、あの時私に“母の仇”と言ったな? 恨まれる覚えは数え切れないくらいあるが、私は女には寛容な主義だ」

(どこがよ!? その寛容にしている女性を国外追放したじゃない)

思わずそう口をついて出そうになってしまったが、ミリアンはじっとレイを睨んだ。そんなミリアンを小馬鹿にするようにレイはフン、と笑って再び玉座についた。

「母を殺した人に似ていたんです。それで頭に血が上ってしまって……」

母を殺したフードの男と、あの日の夜、国王陛下だったフードの男の影が頭の中で重なりそうで重ならない。やはり人違いだったのかと思っていると。

「レイ国王陛下! 面会の者が罷り越しております」

閉じられた謁見の間の扉の向こうからセルゲイの声がして、ミリアンはハッとなる。

「通せ」

レイが凛として言うと、ゆっくりと扉が開かれる。セルゲイの横に立っている人物に、ミリアンは目を見開いた――。
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