国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
その丸い背中に呼びかけても、ロパは一度たりとも振り返ることなくセルゲイとともに謁見の間を出て行った。重厚な扉が閉まる音がミリアンの絶望を煽る。いまだに信じられなくて、ミリアンはその場に膝から崩れた。はらはらとこぼれ落ちる涙を拭うことなく、両手で顔を覆った。国王陛下の面前だというのに、なりふり構わず泣き崩れる姿なんてどうでもよかった。
(私は、捨てられてしまったの?)
(ロパ様を信じていたのに……)
「おい」
すると、頭上からレイの低い声がしてミリアンはようやく我に返った。落とした視線の先に、声の主のつま先が近づいてきていた。
「いつまでそうやって泣いているつもりだ? いい加減泣きやめ」
(これが泣かずにいられるもんですか!)
ミリアンは反発するように涙で濡らした顔を上げると、キッとレイを睨んだ。そんな彼女の虚勢をレイは不敵に笑って、しゃがみこんでいるミリアンの前に片膝をついた。
(私は、捨てられてしまったの?)
(ロパ様を信じていたのに……)
「おい」
すると、頭上からレイの低い声がしてミリアンはようやく我に返った。落とした視線の先に、声の主のつま先が近づいてきていた。
「いつまでそうやって泣いているつもりだ? いい加減泣きやめ」
(これが泣かずにいられるもんですか!)
ミリアンは反発するように涙で濡らした顔を上げると、キッとレイを睨んだ。そんな彼女の虚勢をレイは不敵に笑って、しゃがみこんでいるミリアンの前に片膝をついた。