国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「お前、なかなかいい目をしているな」
親指と人差し指でミリアンの細い顎をつまみ上げ、クイッと上を向かせる。その瞬間、ほろ苦いような渋みのある伽羅の香がふわりとミリアンの鼻腔を掠めた。
「離して!」
咄嗟に顔を背けようとしたが、掴まれた指が離してはくれない。
額にかかった長めの黒髪の隙間から、漆黒の瞳がじっとミリアンを見据える。なにを考えているのかうかがい知れないその目に、じわりと恐怖が湧き起る。
「い、嫌!」
国王陛下に向かってその手を払いのけようとする。無礼極まりない行為だとわかっていてもミリアンにそんな気持ちの余裕などなかった。
「あの牧師を信じていたか? 信じるから裏切られる。裏切られたくなければ、決して信用などするものではない」
「あの方はそのような人ではありません!」
ミリアンは毅然と言い放つ。しかし、レイはまるで面白いものを見るかのようにニヤリと口元を歪めた。
親指と人差し指でミリアンの細い顎をつまみ上げ、クイッと上を向かせる。その瞬間、ほろ苦いような渋みのある伽羅の香がふわりとミリアンの鼻腔を掠めた。
「離して!」
咄嗟に顔を背けようとしたが、掴まれた指が離してはくれない。
額にかかった長めの黒髪の隙間から、漆黒の瞳がじっとミリアンを見据える。なにを考えているのかうかがい知れないその目に、じわりと恐怖が湧き起る。
「い、嫌!」
国王陛下に向かってその手を払いのけようとする。無礼極まりない行為だとわかっていてもミリアンにそんな気持ちの余裕などなかった。
「あの牧師を信じていたか? 信じるから裏切られる。裏切られたくなければ、決して信用などするものではない」
「あの方はそのような人ではありません!」
ミリアンは毅然と言い放つ。しかし、レイはまるで面白いものを見るかのようにニヤリと口元を歪めた。