国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「お前はこれからどうするつもりだ? 誰もがお前を白い目で見る王都でこれからどうやっていく?」

教会に戻れないのならば、ひとりで暮らしていくしかない。そう思っていたところにレイが追い打ちをかける。ミリアンは顔色を失くし、ぐっと言葉に詰まりながらそれでも目の前の男を睨むのをやめない。

「私がお前を引き取ろう」

「な……」

掴まれたあごの拘束が解かれると、レイの口から予想外の言葉が飛び出した。

(私を……引き取るですって?)

言葉の意味が理解できないまま、ミリアンは呆然となった。

「行き場のないお前は、今日から私の物だ」

「え……?」

「この澄んだこの瞳も、白磁のような肌も、そしてその歌声も……お前は美しい」

深い闇の中に、蒼白している自分の姿が映っている。吸い込まれてしまいそうな双眼に、ミリアンはまるでなにかの術に飲まれていくかのような感覚を覚え、思考回路が緩慢になる。
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