国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「情? ふん、バカバカしい。あの女に少しでも価値があると思ったからだ」

「……左様ですか」

腑に落ちない顔をしていたが、セルゲイは一応そのことについて了承した。

「ところでセルゲイ。お前、私が幼少の頃に歌を唄ったことはあるか?」

「……は?」

一体なにを言い出すのかと、セルゲイはその質問に困惑する。

「いえ、私が歌を唄っているところなど、自分で想像するだけでも寒気がします」

「だよな」

こんな無骨で頭の固い男が、歌など唄うはずがない。レイはくだらない質問をしたと後悔した――。
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