国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
今いる部屋は三階の奥の部屋だった。監禁されていた地下牢よりも部屋は広く、サイドにランプの置かれた天蓋つきのベッドや木製のテーブル、そして窓があった。部屋の隅には背の高い本棚があり、難しそうな古文書や分厚いなにかの資料などが長年誰にも開かれることなく埃をかぶって並んでいた。

「マリーア、あなたは私を疎ましいと思わないの?」

「なぜです?」

去り際にひとつ、テーブルの上の埃が気になったのか、マリーアはポケットから布巾を取りだした。同じくらいの背丈で、明るく笑いかけてくれるマリーアだったが、主に対して謀反を企てようと疑いをかけられた相手だというのに、優しくされるのは違和感があった。

「それは、私が罪を犯した者だから……」

ミリアンが顔を曇らせると、マリーアも同情するように眉尻を下げて言った。

「確かに、あなたの噂はすでに城中にも広まっています。いったいどんな人なのかと私もドキドキしてしまいましたが、なんとなく嫌な感じはしません」

テーブルの上の埃をかき集めて隅のゴミ箱に叩きながら言うと、続けて言った。
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