国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
今となってはもう確かめようがない。それに、彼が本当に母の仇なのかどうかも曖昧のままになってしまった。

(今考えてもどうしようもないわね……)

ミリアンは左右に首を振ってもうそのことを考えるのをやめた。しかし、次に思い出されるのは不意打ちのように口づけられてしまったあの瞬間だった。そっと人差し指で下唇をなぞると、初めて口づけられた感触が唇を疼かせた。

(どうしてあんなこと……初めてだったのに!)

有無を言わさず奪われてしまった唇を思うと、ふつふつと怒りが沸いてきた。するとその時――。
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