国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
静寂の中、耳をつんざかんばかりの奇声が聞こえてミリアンの肩がビクリと跳ねた。
(な、なに!? 今の……)
人の声ではないのは確かだ。まるで猛獣の咆哮のような大きな鳴き声だった。
「ひッ!!」
窓の外を見ていると、巨大な黒い影がさっと視界を横切ってミリアンは息を呑んだ。
(あれは、なに?)
ごつごつした緑の表皮に長く伸びる尾、全長十メートルはあろうその身体に大きな翼が生えている。ばさばさと動かすたびに窓が揺れ、夜に染まる空を旋回している。
(竜……? まさか、だよね?)
子どもの頃に読んだおとぎ話に出てくる“天竜”と呼ばれる生き物に似ている。ミリアンが呆気に取られている間に、その大きな生き物は城の背後にある森へと飛んでいってしまった。
(見間違いじゃないよね? ああ。きっと疲れているんだわ、あんな幻覚を見るなんて)
今日は色々なことがあった。ロパ牧師に見限られてしまったのがあまりにも悲しくて、心が現実逃避したがっているのだ。なんどか瞬きをしてもう一度外を見てみると、何事もなかったような先ほどの景色が広がっている。
(な、なに!? 今の……)
人の声ではないのは確かだ。まるで猛獣の咆哮のような大きな鳴き声だった。
「ひッ!!」
窓の外を見ていると、巨大な黒い影がさっと視界を横切ってミリアンは息を呑んだ。
(あれは、なに?)
ごつごつした緑の表皮に長く伸びる尾、全長十メートルはあろうその身体に大きな翼が生えている。ばさばさと動かすたびに窓が揺れ、夜に染まる空を旋回している。
(竜……? まさか、だよね?)
子どもの頃に読んだおとぎ話に出てくる“天竜”と呼ばれる生き物に似ている。ミリアンが呆気に取られている間に、その大きな生き物は城の背後にある森へと飛んでいってしまった。
(見間違いじゃないよね? ああ。きっと疲れているんだわ、あんな幻覚を見るなんて)
今日は色々なことがあった。ロパ牧師に見限られてしまったのがあまりにも悲しくて、心が現実逃避したがっているのだ。なんどか瞬きをしてもう一度外を見てみると、何事もなかったような先ほどの景色が広がっている。