国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
(やっぱり気のせいよ)

ハァとため息をつくと、それと同時にコンコンと部屋のドアがノックされた。

「はい」

マリーアが再び戻ってきたのかと思い軽く返事をすると、予想に反して現れたのはセルゲイだった。相変わらず仏頂面で、ニコリともしない。彼はミリアンのそばに歩み寄るでもなくドアの前で言った。

「レイ国王陛下がお呼びだ」

「え……?」

レイはミリアンにとって苦手とする部類の人間だった。何を考えているのかまったくうかがい知れない表情は、ミリアンを不安にさせた。

会いたくない。そう言いたかったが、彼にとって、国王陛下の言い遣ったことは絶対だ。拒否したところで無理矢理にでも連れて行かれるだろう。

「わかりました。昨日のお部屋ですか?」

「いや、国王陛下の私室だ」

(え? レイ様の……私室?)
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