国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「夜伽なんて冗談だ。お前には務まらないだろうからな」

「な……!」

小馬鹿にするように笑い、途端にレイは挑発的に辱めにも似た冷たい言葉を吐く。

「経験がないのだろう? 泣き喚く女を抱く趣味はない」

「それならよかったです。レイ様の言うとおり、私には務まりませんから」

見え見えの虚勢にレイはクツクツと笑う。

「そうは言っても、お前も女だ。その火傷の痕は見られたくなかったんだろう? 必死に隠そうとしている」

今まで小娘扱いしていたくせに、いきなり「女」と意識されるとなぜか戸惑う。ミリアンが返事をせずに黙っていると、レイがぶっきらぼうに言った。

「その火傷の痕が醜いか? そういう傷は美しいものを際立たせる」

レイがほんの少しだけ優しく笑ったような気がした。冷たくしたりほんの少し優しかったりと、レイという男がわからなくなった。

「……ん?」

レイが何かに気づいたように視線を留めた。すると、驚きを隠せないような表情でじっと目を見開きながらミリアンの胸元を食い入るように見た。
< 82 / 295 >

この作品をシェア

pagetop