国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「お前。そのロザリオは……」

「え……? あっ」

いつも服の内側に隠してあるはずのロザリオが、さきほどレイに引き寄せられた反動で外に出てしまっていた。ストールの影に隠れてはいるが、レイは静かに煌くそれを見逃さなかった。目を見開いて言葉を失っているレイをよそに、ミリアンはさっとロザリオを胸元へ戻し、服の上からギュッと握った。

「それをどこで手に入れた?」

みるみるレイの顔色が険しいものに変わり、ミリアンは怖くなって部屋から逃げようと踵を返した。

「待て!」

「い、嫌!」

ドアまであと少しというところで腕を掴まれてしまった。くるりと反転した身体をそのまま壁に押さえつけられる。

「もう一度聞く。そのロザリオをどこで手に入れた? この質問には答えろ、国王命令だ」

とって食われそうな勢いでミリアンを見据えている。その気迫に息も詰まりそうになったその時。

部屋の片隅から気配を感じ、小さくなにかの生き物が鳴くような声がした。それは猫でもなく犬でもない。なにかだった――。

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