国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
第四章 荒れ狂う竜の夜
(今の、なに……?)
ふたりは同時にその鳴き声にハッとなる。姿の見えない生き物の鳴き声がまた聞こえて、気のせいではないと確信する。しかも、それは部屋の中にいた。
(あれは……)
背の高い本棚の上に小さな塊のような影がちらりと見える。すると、突然それが勢いよくこちらへ飛んできて、目の前が熱とともに明るくなったかと思うと、それはレイに向かってゴウッと炎を吐いた。
「なッ! お前! 恩を仇で返すつもりか、おい、やめないか」
炎といっても、威力の弱い小さな火の粉のようなものでレイがさっと振り払うとチリチリと音を立てて消えてしまった。
(な、なんなの……?)
ふたりの前に姿を現したのは、体長三十センチくらいの生物で、ぽってりとした腹はまるまるとして緑色の身体に短い尾がついていた。レイに向かってギャアギャアと奇声を発し、まだ高く飛べない小さな翼をバタつかせながら彼を小突いている。
ふたりは同時にその鳴き声にハッとなる。姿の見えない生き物の鳴き声がまた聞こえて、気のせいではないと確信する。しかも、それは部屋の中にいた。
(あれは……)
背の高い本棚の上に小さな塊のような影がちらりと見える。すると、突然それが勢いよくこちらへ飛んできて、目の前が熱とともに明るくなったかと思うと、それはレイに向かってゴウッと炎を吐いた。
「なッ! お前! 恩を仇で返すつもりか、おい、やめないか」
炎といっても、威力の弱い小さな火の粉のようなものでレイがさっと振り払うとチリチリと音を立てて消えてしまった。
(な、なんなの……?)
ふたりの前に姿を現したのは、体長三十センチくらいの生物で、ぽってりとした腹はまるまるとして緑色の身体に短い尾がついていた。レイに向かってギャアギャアと奇声を発し、まだ高く飛べない小さな翼をバタつかせながら彼を小突いている。