国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「あぁもう! わかった! おとなしくしろ」

レイがたしなめると、それはようやく落ち着いたようでグルルと言いながらレイの肩にとまった。小さくても肩に食い込んだ爪は鋭く、今まで見たこともないものにミリアンはぽかんとなった。アーモンド状のクリクリとした瞳に八重歯のような小さな牙がついている。それは鳥でもなかった。

「こいつは緑竜のガキだ」

「りょくりゅう?」

先ほど火を噴かれた時か、レイの髪の毛先がほんの少し焦げてしまっていた。緑竜と呼ばれた生き物が、まるでじゃれつくようにレイの耳をはんだりしてちょっかいを出している。

「城の裏手の森で親とはぐれて怪我をしているところを私が保護した。そろそろ森へ返そうと思っていたのだが」

そう言いながらレイが人差し指をそっと出すと、緑竜がカプリと噛み付いた。
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