国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ラタニアには緑竜の他に紅竜(こうりゅう)黄竜(きりゅう)がいて、それぞれ共存している。緑竜と黄竜は温厚な性格だが、紅竜には気をつけろよ、気性が荒くて扱いにくい」

先程、あんなに怖いと感じていたのに、レイがどこか楽しげに竜のことを語っていると、まるで無邪気な子どものように思えた。冷血王にこんな一面があるとは意外に思えた。

「その、さきほどは無理やり腕を掴んで悪かったな……けど、お前が身につけているロザリオのこと、話してはくれないか……私にとっては重要なことなんだ」
気まずそうにレイが長い睫毛を伏せながら小さくそう言うと、ミリアンはどうしていいかわからなくなってしまった。

(レイ様にとって、重要なこと……)

死んだ母からこのロザリオのことは絶対に人に話してはいけないと言われた。見せてもいけないと言われたのにこの存在を知られてしまった。しかし、ロザリオが彼にとってどんな意味があるのかミリアンもほんのわずかだが好奇心が生まれた。するとその時、外からドォンという大きな音がしてわずかな地響きを感じた。

(な、なに!? 地震?)
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