国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
今のはずみでレイの肩にとまっていた緑竜がギャアとひと鳴きして、窓の方へ飛んでいってしまった。

「レイ国王陛下! 緊急事態でございます!」

ドアの向こうから切羽詰まった兵士の声がして、なにかを察知したレイは素早く上着を羽織った。そしてドアを開けると、ぜいぜいと息を切らせた兵士が立っていて、落ち着きを取り戻して胸を張った。

「どうした、なにがあった?」

「城のすぐ近くの森で緑竜が暴れています。負傷者も出ていますゆえ、ご伝達に馳せ参じました!」

「わかった。すぐに行く」

状況を言葉で確認すると、さっとレイの表情が勇ましいものに変わる。

「いいか、お前はここに居ろ。絶対に来るな」

「でも……」

「いったん怒り狂った緑竜は紅竜よりタチが悪い。掴まれたらその身体ごと引き裂かれるぞ」

そう言うと、レイは剣を携えて早々に部屋を出て行ってしまった。
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