国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい

「一体どうしたというの？　なにか怖い？」

ミリアンが語りかけながら両手に抱えると、すっぽりと腕に収まった。じんわりと緑竜の体温が腕に伝わってくる。背中の表皮は少し固くてゴツゴツしているが、あどけない瞳でミリアンを見上げている。

「あなた、さっき私を助けてくれたのね？」

そういうと、緑竜は甲高い声で短く鳴いた。まるで意思疎通ができたようでミリアンは嬉しかった。

「ねぇ、教えて、あなたが落ち着かない理由を」

穏やかな声で囁くように語りかける。じっと自分を見つめるその瞳からミリアンはふとなにかを感じ取った。言葉を発していないものの、不思議と心の中に緑竜の思いがなだれ込んでくるような感覚を覚えた。

「そう、あの外で暴れているのはあなたの……わかったわ、今度は私があなたを助ける番ね！」