極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「こっち向いてください」

彼の正面に立って首筋に両手を伸ばす。左手で結び目を微調整しながら、軽く右手で先を引っ張った。

「苦しくても、我慢してください。社長なんですから」

「お前……保護者みたいなこと言うな」

「保護者ぁ?」

せめて彼女か、奥さんにしてほしかった。

むっとして見上げると、彼はプっと吹き出して「冗談だ」と笑いを堪える。

「お前はいつも口うるさく俺を叱るよな。領収書、早くまとめろだの、交通費精算早く出せだの」

「なっ……当たり前のことしか言ってませんから!」

彼の雑務を管理するのが、私の仕事だったのだから、仕方がないじゃないか。うるさいくらいに言わないと領収書出してくれないんだもの。
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