極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
え、と私は硬直する。

そういえば、逢沢さんに戸締りを頼んでしまったんだっけ。

つまり、今、私の家の合鍵は、逢沢さんの手元にあるんだ。

相手が心優しい紳士な上司とはいえ、随分不躾なことを頼んでしまったかもしれない。

「……そう仕向けたのは神崎さんじゃありませんか!」

「だから責任持って、鍵をつけ変えるまで泊めてやるって言ってるんだ。俺の家に来い」

家に来いだなんて簡単に言うけれど、再会してただでさえ気が動転しているのに、早速連日お泊りだなんて、心の準備が追いつかない。

「……大丈夫ですよ、逢沢さんは紳士な方ですし、ちゃんと鍵返してくれますから」

……と思いたい。あの優しい逢沢さんだもの。

とはいえ、私が神崎さんに連れられて家を出たときの彼の剣幕は異常だったかもしれない。

私が車に乗せられた後も、マンションの前からじっと鋭い瞳で睨みつけていたし……。
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