極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
彼のひと言に、自分がとても残酷なことをしたのだと知らされて、ズンと胸が重くなった。

『頼ってくれてうれしい』って、逢沢さん、言ってくれたのに。

私、逢沢さんの好意を踏みにじってしまったんだ……。

うつむく私の頭を、神崎さんは不器用にくしゃっと撫でる。

「気に病むなよ。だいたい、俺が結婚したなんて嘘の情報を吹き込んでお前を手に入れようとしたアイツが悪いんだ。逢沢は、お前が思っているような良心的な人間じゃない。それに、お前のことだって……」

なにかを言いかけたところで、神崎さんは口をつぐむ。

どうしたのだろうと覗き込むと「すまない、なんでもない」とごまかして逃げるように目を逸らされた。

「とにかく、逢沢にはこれ以上近づくな。……まぁ、仕事上難しいとは思うが」

なにかを隠しているようなもったいぶった口振りで、無理やり話を終わらせた。

なんだか気持ちが悪い。逢沢さんと、過去になにかあったの……?。
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