極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
面倒くさいなんて言う割に、結局剥いてくれるんだ。

いつもそうだ、彼は自堕落な放任主義者を演じているが、実は面倒見がよくて、私のことはきっちり見ている。

で、私が失敗しそうになると、すかさず手を差し伸べてくれる。

たぶん、結構、甘やかし気質なのだ。彼は。

パイナップルはあっという間にひと口サイズになった。

「やっぱり力があると包丁使うにも楽そうですね」

「いや、お前、包丁を力任せに押そうとするからだろ、引いて切れよ」

まっとうなことを言われてしまって、押し黙った。

いや、包丁を正しく使っているかどうか以前に、硬いものは硬いんです、と反論しようかとも思ったが、言いわけにしかならないのでやめておく。

「それにしても、高級な果物ですね。オープンしたお店は、高級食材を中心に扱っているんですか」

「店舗によってだな。安売りはしないが、メインとなる商品は立地に合った価格帯のものを選ぶつもりだ。っつか、お前、なんで店のこと知ってるんだ? 俺、そこまで話してないよな」
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