極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
神崎さんの姿を陰からこっそり見ていただなんて、恥ずかしくて言えない。

なにより、一緒にいた女性と親密そうにしているところを見てしまって、嫉妬していただなんて、絶対に知られたくない。

「ええと……神崎さん、来てるかなぁ、なんて思って、試しに電話を……」

「ふ~ん……」

たいして興味もなさそうな相槌を打たれる。ほっと胸を撫で下ろすのも束の間。

「もしかして、あの電話のとき、お前、近くにいたのか?」

今度こそドキリとして、私は彼を見上げた。神崎さんはリンゴを剥く手を止め、眉を寄せ、警戒心を滲ませながら私を観察している。

「い、いませんけど。どうしてそんなこと聞くんですか?」

「……別に。なんとなく」

神崎さんは視線を逸らすと、再びリンゴへと向き直った。シャッシャッという子気味いい音を響かせ、皮を剥き続ける。
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