極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「いずれにせよ、リスキーな案件であることには違いない。コケれば会社が傾きかねんぞ」

重苦しいトーンで発言したのは、製造部の部長。こんなにも大規模な開発を受注したことはないから、警戒しているらしい。

話は暗礁に乗り上げてしまった。ため息とともに、場が鎮まる。沈黙がびりびりと肌を焼いて、息苦しいほどに居心地が悪い。

「私が、神崎と話してきます」

声をあげたのは逢沢さんだった。

鋭い視線が集中し、さすがの逢沢さんですら若干緊張しているようだった、いつもより声が硬い。

「もともと私は、神崎と同期入社ということもあり旧知の仲です。対会社として動くよりもまず、個人的に彼と接触して思惑を探ってみます。体制や人員についても、無理のない形で組めるよう、根回ししておきましょう」

逢沢さんの提案に、またざわざわと会議室が騒がしくなった。

不満をこぼす一課の課長に、あきらめ半分の三課の課長。
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