極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
いずれにせよ、それ以上の案が出ることはなく、最終的には営業部の部長が「頼んだぞ」と逢沢さんにGOをかけた。

「追ってご報告します」

逢沢さんの一礼に合わせて、私も大きく頭を下げた。

会議室を出ると、逢沢さんがすかさず「ちょっとこっちへ」と私を引き留め、近くの小規模会議室へ促した。

会議室に入りドアを閉め、ふたりきりになった瞬間、逢沢さんは、はぁぁぁ、と深いため息をこぼす。

課長を務める逢沢さんといえど、あの緊張感はこたえたらしい。

「すまない、巻き込んでしまって。本当に神崎はなにを考えているんだか」

逢沢さんにしては珍しく、愚痴っぽく吐き捨てる。

もうこりごりという顔で、一番近くの椅子を引き寄せ腰を下ろした。その正面に私も座らせてもらう。
< 148 / 227 >

この作品をシェア

pagetop