極上恋夜～この社長、独占欲高めにつき～

「……俺が、神崎にアポイントを取るよ。君はなにもしなくていい。こちらの動きを悟られたくないからね。ただ、ひとつだけ忠告しておくけれど……」

不意に、逢沢さんの瞳が鋭くなって、私はハッと呼吸を止める。

「神崎を信じない方がいい」

彼の低い声色に、ゾクリと震えが走った。　

「もしこの契約が締結されれば、さっき話にも出たように、総売上の半分を占める一大プロジェクトになる。失敗したでは済まされない。そんな重たい責任を自分の彼女に背負わせようとするなんて、そんな無責任な話があるか」

彼は怒りをかみ殺すように、ギッと虚空を睨みつける。

「君を人質にとっているようにも見える。公私ともに従わなければ、契約を破棄するぞと」

「そんな……」

人質だなんて。神崎さんがそんな姑息なことをするはずがない、そう反論しようとしたけれど、逢沢さんの眼鏡の奥にある鋭い瞳に射すくめられて、言葉が出ない。