極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
とにかく、私は神崎さんの手元から慌てて書類を奪い返した。

「神崎さん、これ、企業秘密です」

「俺の会社から渡ったものだろう? 秘密もなにもないじゃないか」

「今は『アストロ』側の資料だって中にいろいろ入ってますし、秘密にしたい書き込みだって……て、神崎さんならわかるでしょう!」

私が睨みつけると、彼は挑発的な笑みで視線を返してきた。

「俺の前に企業秘密をちらつかせるお前が悪い。俺がそこまで善人に見えるか?」

不敵な笑みの中に圧力を感じて押し黙る。

『君を利用するためかもしれない』『神崎を信じない方がいい』逢沢さんの忠告が脳裏をよぎって、サッと青ざめた。

「ま、どうやら契約の話が進んでいるようで安心したよ。『アストロ』から一向に回答が返ってこないから、揉めているんじゃないかと心配していたんだ」
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