極上恋夜～この社長、独占欲高めにつき～

神崎さんが、ポンポン、と私の頭に手を乗せる。

疑心に満ちた眼差しを向けると、彼は私の顎の下に指を添え、自分の方へ引き寄せた。

「あの日、『五年分の責任、取ってください』ってお前言ってただろ。五年分のビッグチャンス、あげたんだよ」

艶めいた瞳でごまかすように、彼が茶化す。

あの言葉は、そんな意味で言ったんじゃないのに……。

余計に表情を曇らせた私に、神崎さんが嘆息した。

「そんなに不安に思うなら、さっさと俺の所へ聞きに来いよ。うじうじしてても始まらない、悩むより足を動かせって、教えたはずだろ？」

教育者の顔で私の額をピンとはじく。思いのほか痛くって、額を押さえながら、私は涙目で彼を見上げた。

「逢沢さんが、神崎さんに連絡してみるって……」

「ああ、そういえば着信来てたかな。忘れてた」

神崎さんはジャケットのポケットから携帯端末を取り出して、履歴を眺める。