極上恋夜～この社長、独占欲高めにつき～
「……変でしょうか？」

「いや。素敵だよ。突然大人の女性に変身したみたいで、少しドキドキした」

逢沢さんのはにかみ笑顔に、ホッと安心した。同じ感想を神崎さんも抱いてくれたら嬉しいのだけれど……。

「神崎は、正式な話し合いというよりは、まずは軽く世間話でもしにきてくれればいいと言っていた。とはいえ、相手は一応クライアントの社長だから、気は抜きすぎないように」

「はい」

きゅっと唇を引き結んで集中する。やがて待合スペースで待っていた私たちを秘書の男性が迎えに来て、社長室へと案内してくれた。

「失礼いたします」

秘書の男性がノックとともに扉を開けると、眺めのいいガラス張りの窓が壁一面に広がっていて、外には東京の夜景が広がっていた。

今日は空が厚い雲に覆われているせいか、地上の光を反射してわずかに明るい灰色をしている。

ぼんやりとした光に包まれた夜景を背にして、窓の手前に来客用と思われるコの字型のソファスペースがあった。

部屋の奥に視線を向けると、大きめの書斎机とそこに座る神崎さんの姿。
< 160 / 227 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop